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2 メールから少しはなれてみよう


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いつもメールを確認していないと落ちつかない、メールの着信音が鳴らないと不安になる、そんな気持ちに心当たりはありませんか? もしかすると「メール依存症いぞんしょう」になってしまっているのかもしれません。

「メール依存症いぞんしょう」になっていませんか?

依存症いぞんしょう」とは、ある特定の飲食品や趣味しゅみなどを大好きな人が、ハマり過ぎてしまい、逆にやっていないときに不安になったり、イライラしてしまうことです。そうなると、学校や家庭での生活にまで悪影響えいきょうが出てしまいます。「アルコール依存症いぞんしょう」や「薬物中毒」といった言葉を知っている方もいるでしょう。

依存症いぞんしょうは、アルコールや薬物のような“もの”だけでなく、“行為こうい”に対しても起きます。

たとえば、ギャンブルが止められなかったり、どうしてもTVを見つづけてしまうような依存症いぞんしょうもあります。おとなりの国、韓国かんこくでの実話ですが、ネットゲームにハマった子供が、食事もとらずにずっとゲームをし続けて、ついに死んでしまったという事件が起きています。

携帯けいたいメールは楽しく便利ですが、便利で楽しいがゆえに、ギャンブルやゲームと同じように、依存症いぞんしょうを引き起こす可能性があります。友達とのメールに夢中になるあまり、勉強が手につかないということはありませんか? 食事中でもケータイが手放せなくなっていませんか? 「依存症いぞんしょう」のこわいところは、自分ではなかなか気づきにくいことです。また、一度なってしまうと、なかなか元にもどることができません。あなたも、自分では気づかない間に「メー ル依存症いぞんしょう」になっているかもしれません。

メールのせいでやるべきことができない

携帯けいたいメールのおかげで、どんな場所でも友だちに連絡れんらくしたり、何気ないことを言い合ったりできます。もはや、わたしたちの暮らしになくてはならない便利な道具です。しかし、何事も「やり過ぎ」はよくありません。携帯けいたいメールばかりをやり過ぎて、普段ふだんの生活で本来やらなくてはいけないことが後回しになっていませんか。

勉強、部屋の掃除そうじ、食事、おふろ、テレビを見たり本を読んだりといったこともふくめて、わたしたちの生活は自分で意識している以上に「やらなければならないこと」に満ちています。

携帯けいたいメールもそのひとつに入れてもいいでしょうが、携帯けいたいメールばかりを集中してやっていると、ほかの「やらなければならないこと」をやる時間まで、メールにとられてしまいます。

食事中に携帯けいたいをいじっていて親におこられたり、る時間をけずってまでメールをしなければならなくなった人もいることでしょう。さらに宿題をする時間もなくなり、今度は学校でもおこられることになります。友達と会っておしゃべりしていても、別の友達からのメールに気を取られて目の前の友達が不機嫌ふきげんになってしまったことはありませんか。こういったことが重なると、1日の時間がうまく使えなくなり、次第に体調も、そして心も不安定になっていきます。

友だちと携帯けいたいメールをやりとりしてはいけないわけではありません。ですが、毎日やらなければならないことのバランスが取れるくらいの頻度ひんどで、節度を持って携帯けいたいメールと付き合うことが大切なのです。

メールが来ないと不安になる

こちらからメールを送ったとき、数分以内に返事が来ないと落ち着かなくなったり、逆に腹を立てたりする人はいないでしょうか。

毎日、携帯けいたいメールを大量にやり取りすることが当たり前になっていくと、「メールは自分の返信で終わりにしなきゃ」という気持ちにとらわれていつまでも続けてしまったり、「返信がおそいやつは“使えない”」といった相手を悪くいう考えが生まれやすくなります。また自分に届くメールが少なくなると、「自分はもしかして友だちからきらわれたのではないか」「友だちがみんなでわたしを“シカト”してるんじゃないか」と不安に思い、夜でも寝ねられなくなったり、イライラしやすくなったりします。

それは携帯けいたいメールを「やり過ぎ」てしまったために、正しい感覚がマヒしてしまっている可能性があります。付録の「メール依存症いぞんしょうチェックシート」を使って、自分の「やり過ぎ度」を計ってみましょう。そして「メール依存症いぞんしょうから脱出だっしゅつする5つのステップ」を読んでください。

メールを終わらせよう

携帯けいたいメールをつい「やり過ぎ」てしまう人には、2種類のタイプがあると言われています。1つは仲のよい友だちが多く、友だちと遊ぶことが多い人。もう1つはたくさんの友だちと面と向かって話すことが苦手で、しゃべるかわりに携帯けいたいメールをたくさん出すという人です。

どちらのタイプの人も、友だちと携帯けいたいメールをおたがいに送信しあっているうちに、やり取りが止まらなくなって、ついつい1日で何十通、ときには何百通もの携帯けいたいメールをやり取りしてしまうことになるのです。

やり取りの最中に「もういい加減、メールを終わりたいのに、なかなかきっかけがつかめない」と思いながらも続けるということもあるでしょう。それが知らず知らずのうちに精神的な負担になり、運動もしてないのにつかれやすくなったり、突然とつぜん不安になったりします。

友だちとのメールのやり取りが止まらなくなったときに、ちょっとでも「めんどうくさい」と感じたら、それは「黄信号」です。「赤」になる前にやり取りをやめることが、携帯けいたいメールを使うときに最も重要なことなのです。

「ベストエフォート」で行こう

みなさんは携帯けいたいメールを送ると、すぐさま間違まちがいなく相手に届くと思っていることでしょう。しかしそれは、ネットを形作っているいろいろな会社が努力して、なるべくおくれないようにしているからです。あまり知られていませんが、実はメールは「できるだけがんばってみるけど、もしかしたらダメかもしれない」という思想で作られています。

たとえばメールアドレスを打ち間違まちがえてしまい、メールが相手に届かないでもどってきた経験はないでしょうか。これは、「できるだけがんばって相手を探してみたけど、適当なところであきらめて帰ってきた」という結果なのです。もしこれが妥協だきょうすることなく、いつまでもメールアドレスを探し回る仕組みだったら、人間のちょっとしたミスのために、メールを届けるコンピュータが永遠にあてどなく動き続けることになってしまいます。これは大変な無駄むだですから、適当なところで探すのをやめているのです。

このような「ダメかもしれないけどできるだけがんばってみる」という考え方を、「最大限の努力」という意味で「ベストエフォート」といいます。インターネットの技術では、ベストエフォートが基本です。ネットワークのどこかで調子が悪いところがあれば、メールが届くのがおくれたり、届かないこともあります。もともとメールとはその程度のものなのです。

メールの返事も、そんな風に考えてみてはどうでしょう。自分の使える時間の中で、できるだけの努力をする。できなければ、明日会ったときに話をする。それぐらいの気持ちでメールと付き合うことで、友達や親、学校との関係も、スムーズになります。みなさんが大人になるころにはまた違ちがっているかもしれませんが、今の世の中は、携帯けいたいメールが人との付き合い方の中心にはなっておらず、むしろ「あとから割りこんできたもの」なのです。

携帯けいたいメールの中での人付き合いと、実際に会う人との付き合い方のバランスやルールは、みなさんの世代がこれから作り上げていくものです。相手を思いやり、限られた時間の中でどうすれば両方の付き合いがうまくいくのか、みなさんも今のうちから考えてみてください。

コラム 自転車で携帯けいたいを使わないで

最近、自転車に乗りながら携帯けいたいメールをしている人をよく見かけます。でも、これは大変危険な行為こういなので、絶対にやってはいけません。画面に気を取られて、かべや歩行者にぶつかったりすることがあるからです。

自転車の事故は中学生や高校生が一番多く、その中でもここ数年事故が起きる原因の多くは「携帯けいたい電話を使いながら運転したことによる前方不注意」と言われています。かべにぶつかって自分がケガをするだけならまだいいのですが、歩行者とぶつかって相手が骨折する事件や、車に気づかずはねられて死亡するという痛ましい事故も実際に起きています。

あまり知られていませんが、携帯けいたい電話を使用しながら自転車を運転するのは、法律に違反いはんするのです。歩行者と衝突しょうとつ事故を起こした場合、逮捕たいほされたり、罰金ばっきんをはらわなければならないこともあります。自分の命を守るためにも、他人に迷惑めいわくをかけないためにも、絶対に自転車運転中は携帯けいたいを使わないようにしましょう。

携帯メールやり過ぎ度チェックへ

先生方・保護者のみなさまへ

携帯電話でメールの使い方を覚えたばかりの子供たちは、メールのやりとりがエスカレートするあまり、日常生活に支障を来たす傾向が見受けられるようになっています。子供たちは用事があってメールしているのではなく、どちらかといえば「じゃれあっている感覚」をメールに託す傾向が強く、実社会での「生きづらさ」による精神の不安定さを、メールのやりとりでケアしているという意見もあります。

これらの行動原理はまだ研究の途中であり、突然厳しく制限すると、予想外の結果となる可能性を含んでいます。したがって子供の様子を観察しながら、段階的にメールコミュニケーションへの依存度を下げていくべきと考えます。具体的には、あまりにもメールに頼り切っている自分の姿を客観的に認知させることで、何かおかしいと感じさせ、一般社会の規範との整合性を子供自身に考えさせるような指導が望ましいと思われます。

用語解説

ネットゲーム
インターネット上でプレイするゲームのことです。複数のプレイヤーがネットワークを介して、協力しながら進めていくロールプレイングゲームが主流です。本文に挙げた「食事を取らないで死んでしまった」という韓国の例については、韓国では日本より早くブロードバンドが普及したこともあり、ネットゲームがたいへん盛んだという背景もあります。
ミニブログ
「メール依存症から脱出する5つのステップ」の最後で紹介した、ネットの新しいサービスです。特定の相手宛ではない独り言のようなつぶやきを公開するサービスですが、1つ1つの発言に字数制限があるため、込み入った話になりにくいという特徴があります。代表的なサービスは「ツイッター(http://twitter.com)」ですが、携帯ブラウザやメールから利用できるサービスもあります。

携帯メールやり過ぎ度チェック

次のなかで自分にあてはまる項目こうもくがいくつあるか数えてみましょう。

さあ、自分にあてはまる項目こうもくはいくつあったでしょう?

何個あてはまったかで、自分の「やり過ぎ度」がわかります。

0個だった人
あなたのやり過ぎ度は「ゼロ」レベルです。そもそも携帯けいたい電話やメールに、あまり関心がないのかもしれません。だからといって異常ではありませんので安心してください。
1~6個だった人
あなたのやり過ぎ度は「普通ふつう」レベルです。今のペースならまだ心配するようなことはありませんが、これ以上レベルが上がらないように注意しましょう。
7~13個だった人
あなたのやり過ぎ度は「やや注意」レベルです。おそらくお父さんやお母さんは、今のあなたを少し心配しはじめています。メールのやりとりだけに気を取られず、目の前の人との会話を楽しみましょう。
14~19個だった人
あなたのやり過ぎ度は「警告」レベルです。メールにかかりっきりになっている姿が、すでに回りの人からは変に見えはじめています。お父さんやお母さんは、今のあなたをかなり心配しています。
20個以上だった人
あなたのやり過ぎ度は「重症じゅうしょう」レベルです。すでに普段ふだんの生活にも支障をきたしているはずです。自分で気をつけて改善していかないと、本当の病気になってしまうかもしれません。

メール依存症から脱出する5つのステップ

いくら水泳が好きだからといって、24時間ずっと泳ぎ続けられる人はいません。泳いでいる途中とちゅうでつかれてしまい、おぼれてしまうからです。携帯けいたいメールも同じこと。メールのやり過ぎでおぼれてしまう前に、適度なところで「陸」に上がって、ゆっくり休むようにしましょう。

とくに「携帯けいたいメールやり過ぎ度チェック」の結果が「やや注意」以上だった人は、今までの携帯けいたい電話の使い方を見直す必要があります。次の5つのステップで、メール依存症いぞんしょうから脱出だっしゅつしましょう。

ステップ1 おたがいの「時間」を尊重しよう

メールは、電話やチャットのように2人が同時に会話できる手段ではありません。その分だけ、やり取りに時間がかかります。電話ならば5分で済む話が、メールでおたがいに1通ずつやり取りすると、30分くらいかかってしまうこともあります。

わたしたちの生きている時間には限りがあります。1日24時間のうち、8時間前後はていますし、10時間前後は行き帰りをふくめた学校での時間で終わります。残り6時間のうち、1時間は食事、1時間はおふろや身支度だと考えると、個人が平日に自由に使える時間は、4時間前後ということになります。この4時間の中で勉強や宿題もやらなければいけませんし、さらにテレビを見たり、本を読んだり、音楽を聞いたりしているわけです。そんなときに時間ばかりがムダに消費されてしまう携帯けいたいメールのやり取りは、自分の時間だけでなく、相手の自由になる時間も、知らず知らずのうちにうばっているのです。

余計なメールのやり取りを半分にするだけで、相手が自由になる時間が1時間増えるかもしれません。話すことがたくさんあるときは、時間がたくさんある土日にして、平日は軽めのメール交換こうかんくらいにしておくのもよいでしょう。まずは、「相手のことを本当に大事にしているからこそメールを減らす」と考えることから始めましょう。

ステップ2 終りにできないときは「今の時間」をメールで報告

深夜、メールのやり取りをしていてなかなか「終わり」を切り出せないときにオススメなのが、今の時間をメールで報告することです。「あ、もう○時なんだ」というような感じでメールを送れば、そのあと「夜もおそいし今日はそろそろ寝ねる?」というやり取りを終わらせる話題にしやすいのではないでしょうか。

「11時になったね」というように、毎時0分に時報を真似てメールで報告するというのもひとつの手です。時間を話題にするよう普段ふだんから心がければ、いつのまにか時間が過ぎていることに気づかないということも、少なくなるでしょう。

ステップ3 午後10時以降はマナーモードに

メールが届くことが気になって仕方がないという人は、思いきって午後10時以降(またはる前2時間)はマナーモードにして、メールの着信に気づきにくくするというのも、よい方法です。

夜中のメールは、ついだらだらと続きがち。気がつくとベッドの中に入ってもやり取りが続き、十分な睡眠すいみんが取れないなんてことも起きてしまいます。最初から友だちに「午後10時以降はメールはしないよう、親に言われている」といって、夜届いたメールは翌日の朝や、登下校中などにゆっくり返信した方が、時間もムダなく使えます。深夜のメールをやめるだけで、携帯けいたいメールにまつわるさまざまな問題や、不安を解消することができるでしょう。

ステップ4 「続きは明日にしよう」が言える勇気

携帯けいたいメールのやり取りをしていて「自分の返信で終わらせたい」と思う人は多いようです。ですが、もともとメールは、相手に文字でわかりやすく用件を伝えるための手段ですから、用件が済んでいれば、自分の返信で終わらなくても、相手に「失礼」になるということはありません。どうせ1対1なのですから、自分が最後になる確率は1/2しかないのです。それよりも、今特に話さなくてもいい話題のときに話を切り上げて、「続きは明日にしようか」と相手にメールできる勇気を持ちましょう。

ステップ5 メール以外のネットのサービスも使ってみる

だれかと話したいわけじゃなく、単に今の自分の状態や、思っていることをただ聞いてもらいたいと思ったときに、だれかれ構わず携帯けいたいメールを送っている人はいないでしょうか。そういう「対話」を目的としないメールは、返信が来たときにどうしてもだらだらと無目的に続くメールになりがちです。

どうしても自分が今思っていることを、だれかにただ聞いてもらいたい。そういうときはメールではなく、ブログやSNSのようなサービスを利用して、定期的に日記を書いてみるのもいいかもしれません。また最近では、ひとことふたことつぶやき合うだけのミニブログという手軽なサービスもあります。

多くの人から見られる場所で自分の思っていることを書くことで、まったく知らない人から思いも寄らぬ反応が返ってきたり、他人の違ちがう考え方を知って自分の考えを深めることもできます。メールのように返事を期待しないぶん、書き方も書く内容も自由です。目的によって道具を上手く使い分けることが、大人への近道なのです。